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おわりに

本論文では,ユーザの端末上にフォントを必要としないWWW文書のための多言語ブラウザについてその動作原理,サーバシステムの構築,サービスの提供実験の評価などについて述べた.

本研究で開発した多言語ブラウザを基にして様々な応用システムが実現可能であると思われる. 我々の研究室ではその一つとして,日本語環境を持たないWWWブラウザから日本語資料の検索を行うためのOPACの開発を行っている[10]. このOPACでは世界中から日本語資料の検索が行えるだけでなく,現在のWWWブラウザの枠組では実現が困難な外字の表示もMHTML方式により実現している. このほかにも,文字コードの標準化が進んでいないアジア諸国の言語の文書の提供や,古典文学のデータベース化の際のフロントエンドとしての利用なども考えられる.

なおインターネット上でのサービスの公開以来,いくつかの組織からサーバシステムを移植したい旨の要望を受けている. MHTMLサーバでは文字集合や言語の追加が容易に行えるようになっており,今後これらの組織で新たな言語を対象としたサービスが行われることが期待される. また,外字を追加することも言語の追加と同様に容易に可能であることから,外字を必要とする技術文書,新聞などのWWWを通じての提供などへの応用も期待できる.

多言語対応ブラウザは将来のディジタル図書館にとって必須のツールであると言える. インターネット上で未だ多言語文書環境が一般的でない現状にあって,本論文で示した方法は多言語文書の表示環境を実現するための現実的な方法として有効であると思われる.



Akira Maeda
1997年11月12日 (水) 19時53分15秒 JST